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【開催報告】まつど子育て市民サポーター連続講座「松戸市の子育ての現状と、行政や民間の支援を知る」

【開催報告】まつど子育て市民サポーター連続講座「松戸市の子育ての現状と、行政や民間の支援を知る」
開催終了しました

【開催報告】まつど子育て市民サポーター連続講座「松戸市の子育ての現状と、行政や民間の支援を知る」

まつど子育て市民サポーター連続講座

あなたも身近な地域で子育て・子どもを支える「市民サポーター」になりませんか?

本講座は、松戸市の協働事業提案制度の採択を受けて、子ども政策課との協働で実施しています。

講師:石川靜枝さん(NPO法人さんま 代表理事)、山田美和さん(NPO法人MamaCan 理事長)
日時:2023年12月4日(月)、18日(月)、2024年1月15日(月) 各10時~12時
会場:男女共同参画センター ゆうまつど
参加者:17名

松戸市における子育て・子どもの孤立を防ぐ活動を進める「まつどでつながるプロジェクト運営協議会」と松戸市子ども政策課の協働事業で開催している、まつど子育て市民サポーター養成講座。23年度の第1回(23年12月4日月曜日開催)の様子をレポートします。

今回のテーマは、松戸市内の子育ての現状と、行政や民間に幅広くある支援の様子を知ること。グループに分かれて自己紹介をし、受講生も様々な想いや背景を持って参加していることを共有し、講座が始まりました。1人目の講師は、松戸市内で母親支援団体NPO法人MamaCanを立ち上げて活動する、山田美和さんです。

母親・家庭を取り巻く現状と課題〜NPO法人MamaCan理事長 山田美和さん

現在中学3年生を筆頭に3人の男の子のママである山田さん。自らの出産と育児の中で、孤独を感じて自信をなくした経験、周囲の子ども子育てに向ける目が冷たいと感じたことなどをきっかけに、子育てに寄り添い、子育てをキャリアのステップに、誰もが自分らしいライフステージを歩めるようにサポートすることを目指して、MamaCanを立ち上げています。

◆MamaCanの主な活動
・ファミリー向けイベント(ママから家族へ笑顔を広げる)
・子育て情報誌などでの情報発信
・働き方サポート(就労相談・起業相談)
・子育てつながるセンターconomi
・移動式居場所「駄菓子屋カフェキッチンカーくるくる」
・講師やスタッフの業務委託

◆子育てや女性の職業への意識や環境の変化
山田さんは、1990年代から2020年代までの変化はとても大きいと説明します。
特に女性の職業への考え方の変化は大きく、「子どもが大きくなったら再度職業を持つのが良い」から「子どもが産まれてもずっと職業を続けるのが良い」へと逆転しています。また、女性の就労率は、以前は「M字カーブ」を描いていましたが、これも中央の凹み部分が小さくなっています。
一方で、実際の女性が働く環境はというと、非正規雇用が多く、収入も女性は男性の約7割に留まっています。また家庭内無償労働の時間も女性の割合が高く、ジェンダー平等がなかなか進んでいない現状と、家事育児の負担は依然として高く、そこに仕事の責任なども加わっていることがわかります。

社会全体的には、子どもがいる世帯はどんどん減っていっています。夫婦と子供の世帯、サン世代同居の世帯が大きく減り、単独世帯が大きく増えています。社会全体では子育て世帯は4割を切るマイノリティです。肩身が狭くなり、周囲への気遣いが増えがちです。

◆子育ての孤立の要因と私たちにできること
このように、核家族化や少子高齢化が進み、ひとり親家庭も増加しており、以前からあった障害や若年妊娠、DVといった問題も顕在化しています。共働き家庭の増加は居住地にいる時間の減少でもあり、これらは子育ての孤立の要因になっています。情報化社会とは言われていますが、一方で取りに行く力のある家庭とそうでない家庭の情報格差も生じています。さらにコロナ禍でリアルに繋がりにくい状況が増えてしまいました。

専門家ではないわたしたちにできることは、親子が持っている力を引き出しエンパワメントする関わりを増やすことではないでしょうか。リアルに近くにいて見守れる人や場所を作り、話を聴いて寄り添い、サポートに繋がれるきっかけを増やしていきましょう。

子どもを取り巻く現状と課題〜NPO法人さんま理事長 石川靜枝さん

2人目の講師はNPO法人さんまの理事長 石川靜枝さん。自身の子育て中の悶々とした経験から、さんまを立ち上げました。子育てや子どもにとって大切な3つの間「時間」「空間」「仲間」を育み、子ども・若者が豊かに成長できる地域社会を目指して活動しています。

◆さんまの主な活動
・子育てつながるセンターこのみ(事務所)
・さんまのいえ(地域の多世代の居場所)
・さんま食堂(食からつながる)
・さんま広場
・中高生の居場所popcorn
・ひとり親ファミリー応援DAY
・お弁当の日
・樋の口こども館の運営(子どもの遊びと育ちの応援)

食の提供を中心に活動してきましたが、コロナ禍の前と後では様子がだいぶ変わりました。さんま食堂も以前はみんなでメニューを決めてみんなで作ってワイワイ食べていたけれど、それもできなくなり、そもそも室内に大勢が集まることにみんなが不安を抱えてしまい、集まれなくなりました。そうやって接点やつながりが断たれていく中で、なんとかしなくちゃいけないと始まったのがお弁当の個別配送です。食の個別支援の始まりです。本当につながりを考えさせられた3年間でした。

樋の口こども館やさんま広場、popcornなど、さんまは赤ちゃんから青年期と幅広い年代の子どもたちと関わっています。子どもの貧困や虐待、不登校といった様々な問題を目の当たりに見ていますが、子どもたちから「助けて」と言われることはなかなかありません。わたしたちも様々な繋がりの中でたまたま気づくということも多いです。

そんな見えづらい子どもたちの苦しさですが、子どもたちを力づけるのは、特別な事ではなくて、街中や近所でのあったかい眼差しや「おい!元気か?」というような言葉がけです。制度や資格がなくても、子どもや家庭のしんどさは変えられます。断片的な切り口をつなぎながら、できることを探して活動していきたいと思います。

松戸市の子育て支援の主なもの〜子ども政策課 金井さん

最後に、松戸市子ども政策課から、松戸市の子育て世帯を取り巻く現状と課題、子ども総合計画と具体的な取り組みについて説明がありました。

松戸市は、人口が増加する中で子どもの人口は減っていくという、少子高齢化の街です。また、父子家庭や母子家庭といったひとり親世帯も、全国統計を同様に増加しています。こういった現状を踏まえ、市は子どもや転出者へのアンケート調査も実施し、実態の把握を進めています。

松戸市では、子ども総合計画というものを定めており、現在第2期(令和2年度〜6年度)を実施中です。計画の基本理念は「子ども力(ぢから)でつながる未来」としており、「子どもの力」「家庭の力」「地域の力」を3本柱と定めています。

これらの計画に則った具体的な子育て支援の取り組みは、子どもの年齢や家庭の状況、時代やニーズに合わせたメニューで多岐に渡ります。それらの中から、特に今年度始まった2つの事業とそれを知ってもらうための情報発信の施策をご紹介します。

・マイ・サポート・スペース事業
妊娠時からの相談のつながりや、保育サービスを利用していない家庭とのつながりを作る取り組みです。よく行く(行ける)おやこDE広場や子育て支援センターなどを「マイ・サポート・スペース」として登録するとまつドリBabyヘルパーの利用券や一時預かり無料券などのプレゼントがあります。

・まつドリBabyヘルパー
妊婦さんや保育サービスを利用していない2歳未満のお子さんがいる家庭の不安や負担を軽減し、孤立を防ぐ取り組みです。家事育児の手伝いをするヘルパーを派遣し、在宅の子育てを支援します。

・松戸子育て情報LINE
これまでも多様な情報発信の施策を行ってきましたが、情報が届かない課題を解消するために、昨年から新たに「松戸市子育て情報LINE」 の公式アカウントを導入しました。子育てに関する情報を、民間団体の情報も含めて、必要な市民へわかりやすくタイムリーに届ける仕組みで、すべての子育て世帯を対象としています。情報カテゴリの選択、居住地区、世帯情報、子どもの年齢などを登録することで、必要な情報のみを受け取ることができるセグメント配信ができます。お子さんのいるお知り合いのご家庭などにお知らせください。

3名の講師の話を聞いた感想を全体で共有しました。
・支援はたくさんあっても情報が届いていないのが課題
・支援が必要な人や子どもが行きやすい場所になっているか?
・サポートとのつなぎ方って難しい!
・こんなにたくさんの支援があって松戸はあたたかい
などの想いや課題が挙がりました。講座は残り2回。自分自身の当事者性や小さな違和感を大切にすることから始めていこうと話し合って講座は閉じました。

【主催】まつどでつながるプロジェクト運営協議会・子ども政策課

<講師プロフィール> 石川靜枝さん
●NPO法人さんま 代表理事
●まつどでつながるプロジェクト マネージャー
福島出身、結婚と同時に松戸市へ転居。子育て中のもやもや時期に市主催の一時保育つき講座を見つけ参加。これがきっかけになり子ども・子育て家庭の支援にかかわる仕事や活動を始める。2018年にNPO法人さんまを立上げ、現在はこどもの「時間」「空間」「仲間」を大切にした居場所作り、こども食堂、地域のつながりづくりなどの活動をしている。

<講師プロフィール> 山田美和さん
●NPO法人MamaCan 理事長
●まつどでつながるプロジェクト 代表
松戸育ちで松戸市在住、3男児の母。独身時代はウェディングプランナーとしてキャリアを積み、妊娠出産を機に専業主婦に。キャリア時代とのギャップに悩んだ経験から育児を頑張るママたちもキャリアを生かし、母や妻としてだけではなく「一人の女性」として笑顔で輝いてほしいと考え、2013年にNPO法人MamaCanの活動をスタート。現在は国家資格キャリアコンサルタントを取得し女性の就労・起業相談にも着手している。

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